新潟セリカデイに行ってきた話(後編)帰り道、セリカさんに異変あり

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前編では新潟セリカデイの現地レポートをお届けしたけど、後編は帰り道に起きたちょっとしたトラブルの話。

寿自動車整備工場の石川さんたちとはここでお別れ。千葉に帰ろう。

……とその前に、ちょっと空腹気味のセリカさんに給油しようとガソリンスタンドを探していたところで異変に気づいた。吹き出し口の風が冷たくない。思えば五泉に向かう途中から、なんとなくぬるい風だなとは感じていたんだけど、今度は完全に冷風が出なくなった。エアコンパネルを見るとA/Cボタンが点滅している。

実はこの「温い風と冷風が交互に出る」症状、今回が初めてじゃなかった。以前、蕨駅近くでセリカ仲間が営む未広さんという蕎麦屋に行った時にも、気温が高く同じような症状が出たことがある。あの時は下道走った距離が短かく、すぐに目的地についたことから「気のせいかな」と思い込んで終わらせていた。今回の旅でも栃尾から五泉に向かう途中、高回転での走行がしばらく続いた後にトラックに阻まれて低速走行になったタイミングで何度かぬるい風になった時間があった。その時も「気のせい、もしくはそういう仕様なんだろう」と勝手に納得していた。今にして思えばあれは全部同じマグネットクラッチリレーの不調が出していたサインだったんだろう。まさかここまでちゃんとした「症状」だったとは、この時点ではまだ気づいていない。

ガソリンスタンドに向かう道中、いよいよ完全に冷風が止まった。こんなにはっきりした故障の出方は初めてだ。

窓を全開にして汗を垂らしながら、なんとかガソリンスタンドに到着。すぐさま石川さんに症状をLINEで伝える。

「A/Cランプ点滅ってやっぱ故障ですかね」

返ってきた答えは「コンプレッサーの故障かもしれない」。コンプレッサーの回転数を見張っているセンサーがあって、エンジン回転数と同期しているか監視している。その回転信号がエアコンアンプに入らなくなるとランプが点滅する仕組みらしい。今日みたいにエアコン負荷が高い日は、ベルトの張りが緩んでいるだけでもそうなることがあるとのこと。

給油して再始動したら一旦は点滅が止まり、冷風も復活したかに見えたんだけど……またすぐに点滅。石川さん曰く、一度点滅するとリレーへの通電がされなくなるらしい。原因はエアコンのマグネットクラッチリレーが熱でイカれている可能性。バッテリー手前の小さいリレーボックスの中にあるという。

リレーボックスの蓋を外して当該リレーに触ってみると、確かに熱い。それがエンジンルームの熱気のせいなのか、リレーそのものが発熱しているのかは分からないけど、これだけ熱ければ壊れてもおかしくないよなと納得。すぐには外せそうにないので、ボンネットを開けたまましばらく冷えるのを待つことにした。

現地でできる応急処置として、リレーを取り外してリレー自体のケースを開け、中の接点を強制的に「常時通電状態」にしてしまう荒技を教えてもらった。要は、本来は室内温度やスイッチの信号でON/OFFされるはずのマグネットクラッチを、物理的に固定して常にコンプレッサーが回りっぱなしになるようにする、という力技。輪ゴムやタイラップでもいいというので、最初はプラバンを挟もうとしたんだけど、熱で溶ける恐れがあると石川さんに指摘されて急遽厚紙に変更。さすがセリカを知り尽くす石川主治医、指示も的確だ。

実はこの日、車載工具箱を積んでいたのには理由があった。前日、知り合いの車がパンクして、スペアタイヤへの交換を手伝ったんだけど、そのとき使ったジャッキと工具はうちのセリカさんの車載品。実はその時セリカさんの車載工具袋を初めてちゃんと開けてみたんだけど、中身がかなりしょぼかった。まあ車載工具なんて最低限あればいい、というのが普通なんだろうけど39歳になるセリカさんに対してその「最低限」基準はさすがに心許ない。(マスターシリンダーの前例もあるし)緊急事態に備えて工具はちゃんと積んでおかないとな、と思っていた矢先の今回のトラブルだった。とはいえ実際に使ったのは、リレーカバーを開けるための細いマイナスドライバーくらいのものだったんだけど。

前日確認した車載工具、こんなもんといえばこんなもんですが遠距離は不安…
最初はプラバンで対処するも溶ける懸念が…
適当な厚紙を挟んで強制励磁
右から二番目がM/Cリレーです

考えてみればこれ、今どきの車じゃまず通用しない荒技だ。最近の車はコンピューター制御でガチガチに固められていて、センサーが異常を検知したらフェイルセーフがかかってそれで終わり。素人が現場でリレーの中身をこじ開けて厚紙一枚でだまくらかす、なんて芸当は許してくれない。ST165みたいなアナログな電装だからこそ通じるやり方で、「仕組みが単純だからこそ、仕組みが分かれば手が出せる」という旧車ならではの面白さを実感した瞬間でもあった。

ただし当然デメリットもあって、本来コンプレッサーを休ませるための温度制御機能が死んでいる状態なので、「内気循環で使いつつ、時々風を止めてコンプレッサーを休ませる」「高回転で長時間使うと寿命を縮める」というのが石川さんからの指令。応急処置とはいえなんとか冷風を取り戻したまま千葉まで走り切ることができた。そのアドバイス通り帰りの道中は内気循環を使いつつ、冷風が不要なときはこまめにA/CをOFFにしながら千葉まで走った。

帰りの高速で、たまたま前を走っていたWRXさんの後ろにくっついて走っていたら、いつの間にか結構なスピードが出ていた。さすがGTカー、セリカさんは路面をがっちり掴んで安定した走りを見せてくれる。……けど、ふと我に返った。セリカさんの足回りが優秀なのと、自分の判断力や反応速度がそのスピードに追いついているかは別問題だ。慌てて法定速度まで落として、そのまま無事に自宅まで帰り着いた。

無事帰宅、セリカさんお疲れさま。

ヴィンテージカー乗りの気持ち、この日ようやく分かった気がする。次はマグネットクラッチリレーの交換だな。石川さんからは「この際だから電動ファンリレーやEFIリレーも替えても良いかもしれませんね」とも言われた。思えば前回のオルタネーター交換のときにヒューズは全部新品に替えたんだけど、リレー類はそのままだった。電装系の突然死はいつ来てもおかしくないから、ヒューズだけじゃなくリレーもまとめて予防交換しておいた方が良さそうだ。

※今回の応急処置は、旧車の電装まわりに詳しい石川さんに逐一相談しながら、症状と原因を切り分けた上で行ったもの。マグネットクラッチリレーを強制的に通電させっぱなしにする処置は、故障の原因や車種によっては効果がなかったり、かえって他の部品(コンプレッサーやベルトなど)への負荷を増して症状を悪化させたりする可能性がある。同じ症状が出たからといって安易に真似せず、まずは信頼できる整備士やショップに相談することをおすすめします。


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