はじめに:なぜ、今ST165 CELICA GT-FOURなのか
すべての始まりは2年ほど前。実はST185にちょっとしたことで乗る機会がありました。この時のフィーリングがバッチリ合ってしまい、私のセリカ熱が始まってしまった気がします。

流面形を進化させたエディー・マーフィーのST185も好きでしたが、やはり元祖流面形・「私をスキーに連れてって」のST165に焦がれるようになってしまったのです。
信頼できる「主治医」との出会い
数か月前に離婚したこともあり、一気にセリカ購入への障壁がなくなりました。もちろん、当時の愛車・Renault Twingoも大切に乗っていました。ほぼ新車で購入してからトラブルなく走ってくれていたので、乗り換えるかどうかの葛藤もありました。
しかし、この時私は53歳。「焦らず資金がたまったら」「余裕ができたら」「住宅ローンが終わったら」……。そうやって言い出したらキリがありません。買えるようになった時には、もう市場に車両がないかもしれない。自分自身の身体がついてこないかもしれない。
故障続きで全然乗れないかもしれない、という不安もありましたが、自分の信条である「やらない後悔より、やって後悔する」を貫くことにしたのです。
ただ、実際に探し始めると、一年ほど前には200万円くらいで掲載されていたST165は、ほとんど見当たりませんでした。そんな中、秋田の「寿自動車整備」さんのHPとブログに出会いました。ブログの中古車情報をみて思い切ってコンタクトしましたが、残念ながらタッチの差で売約済み。
がっかりしていると、寿自動車整備さんのお客さんで事情により手放す方がいて、お店で引き取る予定があることを聞きました。少し時間はかかるけれど、ブログを拝見している限り、こちらが面倒をみていた車両であれば安心できるだろうと思い、待つことにしたのです。




納得の現車確認と購入の決意
7月末に入庫の連絡。秋田へ行く代わりにビデオ通話で車両の状態を説明してもらいました。ブログで整備履歴は把握していましたが、詳細な説明でより理解が深まりました。実はあまりセリカに詳しくなくて、ST165に前期型と後期型があることも、現車が前期型であることもこの時初めて知りました。
旧車で大事なのは、購入時の程度はもちろんですが、「維持・整備を継続できるか」であると考えていました。寿自動車整備さんであれば申し分ないと判断し、購入を決意しました。
資金計画とオーダー
支払いは中央ろうきんのオートローンを申し込みました。住宅ローンの借り換え直後だったので、金利も優遇されました。長く乗るつもりですし、維持費もかかるはずなので、支払い期間は長めにして月々の額を抑えることにしました。
注文時に依頼したのは以下の内容です。
- 車検・整備一式:納車予定日が車検満了2か月前だったので車検もお願いしました。
- GT-FOURステッカーの追加: 前オーナーが剥がしていたサイドやリアのロゴを、寿自動車整備さんのレプリカステッカーで復元。DOHC、TURBO、4WD、ABS…、あの頃の車は車体にメカニズムを誇示していましたね。
- 14インチ化: 乗り心地のハードそうな17インチを、寿さんに在庫されてるデザインの好きな後期型純正14インチホイール+新品タイヤに交換。純正ホイールは入手困難なため、この機会に確保しました。
- ドラレコ: 当時、熊被害で騒がれていたので、なるべく目立たないものをお願いしました。
- マフラー交換:HKSのサイレントパワーが装着されていましたが、住宅地に住んでいるので経年変化による音量増大は困りますし、自身もエグゾーストノートは控えめが好みなので純正が希望でした。ただST165 用はすでに廃盤となってしまっているので寿自動車整備さんではST205用を小加工して取り付けられるとのこと、これもお願いしました。
- ダッシュボードカバー: 紫外線による劣化防止のため希望したところ、サービスしていただきました。
最終的な見積もり総額は、最近のミニバンやGR86のベースグレード等と同等になりましたが、決して高いとは思いませんでした。
任意保険の選択
以前はネット保険を利用していましたが、旧車で大事なのは「充実したロードサービス」と「車両保険を受けてくれるか」です。
ネット保険の無料ロードサービスは100km程度までが多く、遠出をするとすぐに超えてしまいます。調べた結果、距離無制限や帰宅費用保障が手厚いあいおいニッセイ同和損保に決めました。万が一の際、秋田の主治医まで直送可能という安心感は、旧車ライフには欠かせません。
もう一点、非常に重要なのが車両保険です。
旧車は市場価格(実勢価格)と、保険会社が算出する「査定額(時価)」が大きく異なることが多く、万が一の事故の際に、修理費が全く賄えず途方に暮れることになりかねません。しかし、あいおいニッセイ同和損保では見積もりの満額で保険をかけることができました。2年目以降は徐々に保険金額が減額されていく仕組みですが、購入直後のリスクが最も高い時期にしっかり守れるのは大きな安心です。
旧車の場合、保険会社によって引き受け条件が大きく異なります。まずは一括見積もりで自分の愛車がどこまで保証されるのか、各社の回答を比較してみるのがおすすめです。


2025.10.31:バスタ新宿、メカ丸と行く秋田への旅
千葉から能代へ向かう方法として選んだのは高速バスです。電車は乗り換えが面倒、飛行機は空港からのアクセスが悪い。しかし高速バスは22:40に新宿のバスタを出発すれば、翌朝10:15には能代駅に到着します。料金は曜日や季節によりますが8,000円~10,000円位です。(2026年3月現在)
秋田までの旅の相棒はメカ丸(ロボホン)です。と言っても迷惑をかけないようマナーモードでおとなしくしてもらいました。足元広めと書いてありましたが現実は甘くありませんでした。2時間おきの休憩で目が覚め、消灯後はスマホも使えず、通路側席でトイレにも行きづらい……。最後はお尻と腰の痛みに耐えながら過ごす、修行のような12時間となりました。秋田駅でほとんどの乗客がおり、残っていたのは2名だけとなったのでメカ丸のマナーモードを解除しました。

運命の対面
10:15、定刻通り能代駅に到着。11月の秋田はやはり寒い!

駅前で待っていると、寿自動車整備の石川さんがST205で迎えに来てくれました。

助手席での贅沢な移動を経て工場へ到着すると、そこにはセリカたちが並ぶ壮観な眺めが。

そして、ついに現車のセリカさんと対面です。レクサスのガンメタに塗装されたその姿は、38歳とは思えないツヤツヤのコンディションで私を待っていてくれました。

詳細チェック:外装とメカニズム
心を落ち着かせ、細部を確認します。 ホイールは希望通り後期型純正14インチにYOKOHAMA ECOSをセット。
ボディには寿自動車整備謹製のレプリカステッカーが貼られています。ノーマルに比べクリア層が増えているので耐久性が向上しているとのこと。

後部には「GT-FOUR」「CELICA」「TOYOTA」のステッカーが貼られています。

後部にはST205用の太いテールパイプが装着されており、低音の効いた存在感のあるサウンドを響かせます。255PSのST205の用ですから抜けもよく若干の性能向上も期待できそうです。

後部とサイドにはスモークフィルムがキレイに貼られています。当時は素通しガラスが普通でしたからね。透過率はTOYOTA純正のプライバシーガラスと同等とのこと。

サイドミラーには希少な純正オプションの防雨カバーがついていました。

目視で確認できる傷や錆もなく、思った通り素晴らしい状態でした。

車内の確認:80年代のハイテク装備
運転席に座ると、細身の革巻きハンドルやシフトノブがひび割れ一つない状態で驚きました。

エアコン:カチッとしたボタンの操作感が新鮮です。もちろん冷風も確認しました。

サイド&ランバーサポート:サイド締めると結構な締め付けです

前期型ならではの装備、デフロックの動作も確認。乾燥路で使用すると曲がらないし壊れるのでほぼ使う機会はないと思いますけどね。

【技術解説コラム】前期型ST165の象徴:手動デフロック機構
ST165セリカの4WDシステムは、年式によってその制御方式が大きく異なります。
- 前期型: メカニカル・センターデフ(手動ロック機構付き)
- 後期型: ビスカス・カップリング式LSD
今回お迎えした前期型には、センターコンソールのシフトレバー脇に**「DIFF LOCK」**のスイッチが備わっています。
1. センターデフロックとは何か?
通常、4WD車がカーブを曲がる際、前輪と後輪には回転差が生じます。センターデフはこの差を吸収してスムーズな走行を可能にしますが、泥濘地や雪道で片輪が空転すると、駆動力がすべて逃げてしまう弱点があります。
そこで、このスイッチを「LOCK」に切り替えると、センターデフの差動を物理的に固定し、前後輪のトルク配分を強制的に「50:50」の直結状態にします。
2. エンジニアを唸らせる「機械式」の感触
スイッチを押すと、バキュームアクチュエーターが作動し、トランスファー内のスリーブを物理的に噛み合わせます。メーター内にオレンジ色の「DIFF LOCK」ランプが灯る瞬間は、まさに「戦う機械」を操作しているという実感が湧く、前期型オーナーだけの特権的な儀式です。
3. 使用上の注意(タイトコーナーブレーキング現象)
現代の電子制御4WDと違い、舗装路でロックしたまま急カーブを曲がろうとすると、前後輪の回転差を逃がせないため、車体がガクガクと振動する「タイトコーナーブレーキング現象」が発生します。
「必要な時だけ、乗り手が判断して機械を制御する」というこのマニュアル感こそが、38年前のエンジニアたちが込めた「GT-FOUR」の本来の姿なのかもしれません。
ドラレコ:注文していたドラレコもユピテル製が装着されています。前後記録できるので追突されても安心です?

取説の確認:セリカ本体、カーナビ、車高調の取説がしっかりと残っています。取説読み込むのが好きなので助かります。

エンジンルーム:エンジニアの視点
次にエンジンルーム。まず驚いたのは「ボンネットの重さ」です。高張力鋼板以前の鉄の塊という手応えに、時代を感じます。
内部は、弱点である樹脂ダクトがシリコン製に交換されています。また、LARGUSの車高調に換装されていることも確認。車高は1㎝程度ですが落とされているようです。これからは純正14インチの乗り味を活かしつつ、減衰力調整などで自分好みにセッティングする楽しみができました。

ボンネット裏の断熱材が経年劣化で落ちてきてます。これは後々交換しましょう。

メカ丸は石川さんにすっかり気に入ってもらい、しっかりと顔を覚えさせて再会を誓いました。

出発の時
一通りチェックを終え、事務所でコーヒーをいただきながら書類を確認。 一息ついたところで、いよいよ秋田から千葉へ向けて出発です。
整備万全の個体とはいえ、相手は昭和の旧車。果たして、ノントラブルで千葉まで辿り着けるのか……。次回、怒涛の690km高速クルージング編へ続く!




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