手術当日。前回のクラッチマスターシリンダー交換での経験もあるので、今回も早い時間から手術を開始しました。
「手術を開始します。術式は——オルタネーター置換術。」
麻酔の投与
いつも通り麻酔をかけます。
「では麻酔をかけますよ〜」と言いつつバッテリーのマイナス端子を外す。ショートしないよう端子を絶縁処理。これで安心して手術ができます。
術野の確保
まずは術野を確保します。オルタネーターへのアクセスを容易にするため、O2センサーとエキマニカバーを外していきます。オイルエレメントを外した時に経験済みなので、ここはテキパキ進んでいきます。

カバーには少し錆が浮いていました。次回外すときは同時に錆取りと再塗装でリフレッシュしよう。そんなことを考えながら作業を進め、オルタネーターの冷却ダクトまで外れました。ここまでは順調です。
摘出前の確認
摘出の前に、ベルトの張り具合を確認しておきます。大体ですが真ん中あたりを押して、感触とたわみ量を覚えておきます。新しいオルタネーターを取り付けた後に同じテンションに戻すための基準です。
続いてオルタネーターとボディをつなぐアース線を取り外します。最近磨いたばかりなので汚れはありません。コネクターを外し、摘出の準備が完了しました。
ベルトの取り外し:ここで行き詰まる
まずはテンショナーを緩めてベルトをプーリーから外します。テンショナーボルトは正面にあります。緩めるときには締め込み方向(時計回り)に回します。
特に問題なく回しているのに、全然ベルトが緩んでいかない。
まだ到着していなかった助手にLINEで確認すると、折り返しで電話がきました。
「プーリーのボルトを緩めてください。」
なるほど、道理で緩まないわけだ。言われた通りプーリーのボルトを緩めるとプーリーが動いてベルトが緩みました。みんカラを見てもなかなか細かいところはわからないので、経験者のアドバイスはホントに助かります。

テンショナーボルトをひたすら緩めてようやくプーリーからベルトが外せました。結構緩めないと外せませんね。ベルトが脱落しすぎないように、念のため紐で吊るしておきました。
第一術式:オルタネーターの摘出
これでいよいよオルタネーターを摘出できます。
オルタネーターを固定しているのは2本のボルトのみ。まずは上のボルトを外しました。外から見えるので外すのは容易です。続いて下のボルト。こちらは内側にあるので外からは見えず、ソケットを差しにくいですが問題にはなりません。ただし結構ネジ部が長いので、根気よく回し続けることになります。

ボルトも外れ、いよいよオルタネーターを摘出します。落とさないよう慎重に持ち上げ——摘出完了です。

第二術式:ドナーの移植——しかし現実は甘くなかった
いよいよドナーを移植します。移植といっても元あったところに戻すだけ。しかし現実は甘くありませんでした。
ドナーを慎重にコの字型のブラケットに合わせてみると、全く入りません。
ノギスで寸法を測ってみると1.5mmほど広い。型式を確認すると、摘出品は「18042100115」「ALND00251」、ドナーは「2605700447」「2555 ALND」と書いてあります。「18042100115」はおそらくロットナンバー、「ALND00251」は型式だと思われるので、微妙に違うのかもしれない。純正かと思っていたオルタネーターは実はすでにリビルド品に置き換わっていたようです。




原因判明:フランジ付きブッシュの問題
コの字ブラケットにはフランジ付きブッシュが圧入されています。このフランジの厚さ分で入らないようです。ブッシュを押し込んでも入りそうにない。方法は2つ——外側からブッシュを叩いて抜き、外側から再度圧入するか、サンダーで切断・削り落とすかです。

ブラケットとフランジの間にマイナスドライバーを差し込んでみましたが、あっさりフランジが欠けてしまいました。断面を見てもざらざらしているので鉄系ではなく超硬のようです。こいつを加工するのは骨が折れそう。ということで、叩いて抜くことを選択しました。
ただし叩いて抜くのも不安があります。何分年代物ですし鋳物なので、叩いているうちに折れたり割れたりしないかです。ボルトを付けて慎重かつ大胆にハンマーで叩いていきます。気休めですが潤滑剤も吹きました。少しずつですがフランジが動きます。カンカンカンカン叩いてようやく抜けました。心配していたブラケットも無事です。

続いて抜けたブッシュを反対側から圧入していきます。ブッシュを冷やしてブラケットを加熱しようかとも思いましたがヒートガンもないので、慎重に叩き込んでいきます。一旦抜けたので挿入はそれほど大変ではありませんでした。

これでドナーも入るはず。よし、入った!

2本のボルトでドナーを固定します。ベルトをプーリーにかけ、テンショナーボルトを摘出前に確認したテンションと同じになるまで緩める方向に回します。プーリーボルトを締め、コネクターを取り付け——移植完了です。

あとは外したカバーとダクト類を元に戻して手術完了。

麻酔覚醒:セリカさんが目を覚ます
バッテリー端子を取り付け、緊張しながらキーを回します。
警告灯は……消えた!
手術成功です。結局、原因はオルタネーターだったようです。主治医にも助手にも手術成功の報告をしました。
術後所感
前回のクラッチマスターシリンダー交換に比べれば、比較的シンプルな手術でした。しかしブラケットのブッシュ問題は完全に想定外で、ここでかなりの時間を取られました。リビルト品同士の微妙な寸法差という、旧車ならではのトラブルです。
徐々に慣れてきた気もします。もちろん故障がないのが一番ですが、できることが増えていくのはいいことです。セリカさんのことを、自分の手で少しずつ知っていけている感覚があります。
まとめ:ST165オルタネーター交換のポイント
- ベルトを外すにはテンショナーボルトだけでなくプーリーのボルトも緩める必要がある
- ベルトは脱落防止のため紐で吊るしておくと安心
- オルタネーター固定ボルトは上下2本。下側は内側にあり見えにくいが作業自体は問題ない
- リビルト品同士でも型式が微妙に異なる場合がある。事前に型番を確認しておくこと
- ブラケットのブッシュ問題は潤滑剤+ハンマーで対処可能だったが、鋳物なので慎重に
- ベルトのテンションは取り外し前に感触を覚えておく
- 警告灯が複数同時点灯した場合、ヒューズ・アース不良も疑うが最終的にはオルタネーター本体の可能性が高い



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