緊急入院!セリカさんのクラッチマスターシリンダーが出血していた【中編】

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手術当日。3月の日曜日。

天気は快晴。絶好の手術日和です。

3月になり日が伸びたとはいえ、マスターシリンダー・ホース・レリーズシリンダーの三点同時置換となると長時間かかる可能性があります。余裕を持って、8:00に手術を開始しました。

手術着に着替え、ゴム手袋を装着します。

「手術を開始します。術式は——マスターシリンダー・クラッチホース・レリーズシリンダー置換術。」

手術にあたりゴム手袋を装着
手術を開始します

助手は後から合流してくれるとのこと。まずやれることからやっておきます。


麻酔の投与

「それじゃあ麻酔をかけますよ。」

バッテリーのマイナス端子を外します。最近の車は電子機器が多く、迂闊にバッテリーを外すと各種設定がリセットされるため、人工心肺(バックアップ電源)が必要なケースもあります。しかしセリカさんは問題なし。デジタル時計がずれてしまうくらいのものです。

外したマイナス端子にビニルテープを巻いて絶縁し、麻酔完了。セリカさんに静かに眠ってもらいます。

トヨタセリカST165のバッテリーマイナス端子を外した状態。作業前の短絡防止処置。ビニールテープで絶縁している様子。
麻酔投与中。マイナス端子を外してセリカさんに眠ってもらいます。

術野の確保:シートとパネルの撤去

続いて術野を確保します。前回の診察時は体を斜めにしながらなんとかマスターシリンダーを確認しましたが、今日は本格的な手術。助手の提案もあり、運転席シートとメーター下のパネルを外すことにしました。

シートの取り外し

まず電動サイドサポートのコネクターを外します。車のコネクターってなんでこんなに外しにくいんだろう。少々苦労しながらも取り外し完了。

続いてシートを固定しているボルト4本を外します。これで取り出せるはず——と思ったら何かに引っ張られる。

シートベルトでした。

シートベルトのボルトを外しているところ
シートベルトも固定されてます

シートベルトを外してようやくシートの取り外しに成功。しかしこのシート、重い。電動サイド&ランバーサポート付きのせいでしょうか。腰がやられないかひやひやしながらなんとか撤出しました。

ステアリング下パネルの取り外し

続いてステアリング下のパネルを外します。小ねじだけで止まっているのでそれほど難しくはありませんでした。

トヨタセリカST165のステアリング下ダッシュボードパネルを取り外した状態。
ステアリング下のパネルを外したとことろ

ここで意外な発見が。フロントスピーカーがKENWOODに交換されていました。フロントスピーカーがKENWOODに変えられていました。これも自分で執刀しているからできる発見です。

※調べてみるとKENWOODのKFC-RS101という製品でした。非力な純正10㎝に比べラジオでも聞きやすくなったというレベルで変わるそうです。コスパもよくみんカラ民の評価も高かったようです。 現在は生産中止になっていてKFC-RS105が後継機のようです。自分で執刀しているからこそ気づける発見です。セリカさん、どこまで手が入っているんだろう。


第一術式:マスターシリンダーの摘出(室内側)

術野も確保できました。いよいよ患部の除去に入ります。

まずリンクピンのクリップをラジオペンチで引き抜きます。続いてピンをスライドさせて除去。ここまでは順調。

いよいよマスターシリンダー固定ナットの取り外し。12㎜のディープソケットをナットに差し込み、□9.5㎜のラチェットを——

スペースがなくて入らない。

ならばユニバーサルジョイントで角度をつけて——も入らない。助手が持ってきてくれたラチェットに持ち替えて再度試みるも、やはり入らない。

手持ちのあらゆる工具の組み合わせを試しながら、時間だけが過ぎていきました。

術中コンサルト:石川指導医への緊急連絡

困り果てて、石川指導医に電話します。

小さい工具(差し込み角6.35㎜)を使うといいですよ。ちょっとだけ角度が付けられる工具も便利です。

早速、助手の軽トラで近くのホームセンター・コメリへ向かいます。□6.35㎜のディープソケットと、角度が付けられるフレキシブルエクステンションを購入して戻りました。

手術室に戻り、ディープソケットにユニバーサルジョイントとエクステンションを取り付け、ラチェットをセット。ナットにかけて回します。

あっさり外れました。

これまでの苦労は何だったのか。工具って大事。本当に大事。さすが指導医のアドバイス、助かりました。

なお指導医によると、シートもパネルも外さずにマスターシリンダーを外しているとのこと。確かにたくさんの患者を診るのであれば時間はかけられません。次回はチャレンジしてみたいと思います。


第二術式:エンジンルーム側の処置

引き続きエンジンルーム側に移ります。

タワーバーが明らかに邪魔になりそう。ホース交換でも邪魔になるとのことで、まず外しておきます。14ミリのナット3本、結構しっかり締まっていて少々骨が折れましたが、無事取り外し完了。

いよいよエンジンルーム側のナットを外します。こちらはすんなり外れました。室内側の苦労が嘘のようです。

続いてフレアナットの取り外し。フレアナットレンチがなくともすんなり外れてくれました。

これでマスターシリンダーが摘出できるはず。少し揺らすと、張り付いていたフランジが剥がれました。慎重に車体から取り外します。

摘出完了。

時計を見ると12:00。手術開始からすでに4時間が経過していました。

39年間、一度も交換されることなく頑張り続けたマスターシリンダー。お疲れ様でした。


後編へ続く:新マスターシリンダーの移植、エア抜き、そして予期せぬフルード漏れとの戦い——

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